第4985回

全宅管理(全国賃貸不動産管理業協会)第3回学術研究部門特別委員会

千代田区神田岩本町の全宅会館の4階で、第3回学術研究部門特別委員会が開催されました。この特別委員会では、賃貸管理業務にどうやって信託や相続の知識を武器として導入するかが、喧喧囂囂(けんけんごうごう)議論されています。確かに信託(家族信託)となると、相続以上に難解です。

高齢者の不動産所有者が増えていて、いざ売却となると、正常な判断能力がないとされて、売買契約が成立しないケースが増えています。「怪しい」となれば、司法書士が事前に売主に接見します。

ここで「判断能力に問題あり」となると、成年後見制度の申請を裁判所にして、許可が得られれば「成年後見人」が本人を代理して契約が出来ます。この制度が出来た頃は、許可がなかなか貰えずこの制度は使えないと言われたものでした。

事後処理になりますが、ごく最近は、裁判所の判断も柔らかく速くなっています。極端な場合、「本人の不動産を処分して本人の介護療養費に充てる」という理由でも、裁判所は親の面倒を見るのは子どもの責務だとして、なかなか許可が出ませんでした。本人の財産を減すのは、本人に損を与えるという考え方です。

「成年後見制度」は事後対策ですが、「家族信託」は事前対策です。家族で事前に話し合いが出来る環境にあれば、「家族信託」は次の手も考えてそれを契約書に盛り込むことも出来ます。「遺言」もそうですが、事前対策は有効な場合が多いのです。断定をするのではなくて、家族信託という選択肢も増えたと考えればいい。

家族信託に話しを戻しますがまず自分らで理解をし、自分達のまわりで例えば高齢者の親を「委託者」として、息子や娘が「受託者」となり、「受益権(株であれば配当、アパートであれば家賃等)」を委託者やその配偶者が取るという家族信託を1度作ってみるのが一番の学習だと。

「聞き取りシート」に信託の目的等を、委託者の希望を書き出し、企画をしてみるというのです。そういう人は本日の講師は、ダンコンサルティング㈱石垣雄一郎氏であります。私は過去に、公益財団法人不動産流通推進センターの相続専門士セミナーで、石垣講師の講義を聴きました。

10日ほど前に、石垣講師から電話を頂きました。「どんな話しが聞きたいか」という質問でした。私は一連の流れのなかで、課題を探し出し、そこに活路を見いだすことを考えていますと申し上げました。

その意見も考慮され、本日僅か50分間ですが掻い摘まんで「家族信託」の概要説明がありました。信託の特徴は、例えば信託財産がアパートだとすれば、その土地と建物という不動産の名義が、かならず受託者の名義に換わることです。その登記原因は「信託」で、所有権移転が行われます。

しかし税制面では形式的移転として、譲渡所得や不動産取得税は課税されませんが、名義が換わることから「登録免許税」は課税されます。そして固定資産税と都市計画税は、当然新所有者へ課税義務者が移ります。

また信託の目的が、判断能力が落ちかけた親から子へのバトンタッチであれば、「売却」も受託者が独自に実行することができます。ただしその売買代金は、受益者を親と決めていたと仮定すると、親の預金通帳に入ります。親のために使われることになります。

信託は、もともと英国で14世紀に誕生したと言われていますが、発端は「十字軍」です。日本にあっては、明治38年に導入されて、大正11年に「信託法の制定」が、そして平成18年に84年ぶりの改正が行われて、「家族信託」「民間信託」と呼ばれる今の仕組みが誕生しました。

平成18年今から10年前の改正までは、「信託」は「信託銀行」が商事信託として展開していました。これは今も当然続いています。これに加えて「家族信託(法的には家族信託という文言はない)」という使い勝手が良い制度が誕生したのです。家族間で問題を浮き彫りにして、総意でそれを解決するのが家族信託のようです。

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