世界遺産の下鴨神社境内定借マンション本格着工
世界遺産下鴨神社(京都市左京区)境内の、定期借地権付マンション建設計画で、事業者のジェーアール西日本不動産開発(兵庫県尼﨑市)は2月15日、本格的な建設工事に着手したと発表しています。既に土地の整備は終わっていて、基礎工事などに着手するようです。
私も現場を見に行きましたが、建設地は国史跡「糺(ただす)の森」や本殿がある世界遺産区域から、道路を挟んだ境内の一部です。一見すると、境内外のように見えます。神社が年間8千万円の地代で50年間の定期借地権を設定して、事業者はこの借地の上にマンションを建設してマンション分譲販売します。
敷地は約9,650平方㍍(3,000坪)で、3階建を8棟、戸建感覚で99戸分譲する計画です。高級和風マンションで、確か瓦屋根がつくように書かれていました。完成予定は2017年6月。定期借地権付分譲マンションがまだまだ珍しい中で、幾らで販売し、果たして売れるかどうか。全国的に、注目が集まるところであります。
神社としては、21年に1度の式年遷宮の費用約23億円に地代を充てたい考えで、昨年3月にマンション建設計画を発表していました。これを聞いて、全国定期借地借家権推進機構連合会では、法律が20数年前にできていながら、なかなか定着しない定借マンションへの期待を高めているわけです。
定借マンションとしては、愛知県の㈱未来住建を先頭に、尾張三河や沖縄県で実績があります。しかし割合からすると全国ベースでは一桁台で、定着しているとまでは言い難く、下鴨神社の例が先例の一つとなることでしょう。実に楽しみであります。
とは言いながら、マンションの建設地が世界遺産の周辺環境を保護するためのバッファゾーン(緩衝地帯)内にあることから、周辺住民グループが反対運動をはじめています。そもそも京都のこの地に、マンションが必要なのかどうかも議論の余地があるところです。定期借地権も、需要と供給で計られるところまで来ました。
マンション価格は書かれていませんが、常識的に考えても土地付きマンションに比べたら、5~7割の価格になると予想されています。借地ですから、マンション所有者に地代の支払は当然ありますが、土地代金が不要なため総額は安くなるはずです。私どもは、双方にメリットがある計画だと思うのですが。
また分譲マンションは、解体再築が難しい現実があります。最初から50年間の定期借地権であれば、解体して更地にして返還することが最初から確定しています。入口で出口が確定するわけです。むしろ定借マンションが、(メンツを度外視した)これからの理想的な分譲マンションスタイルになるのではないでしょうか。