第3951回

宅地建物取引主任者に対するある考え方

私が開業した頃、もう既にリーダーだった星野尾数馬先輩が電話の後に来店されました。確か今から2週間前頃に、われわれ不動産業界の一番ベーシックで、それでいて唯一の準国家資格である「宅地建物取引主任者」資格について、熱い思いを立ち話で聞いていました。

それの肉付けにいらしたのですが、先輩の意見は「宅地建物取引主任者」の試験に合格し、登録を終えている人が全国に約100万人いる。これは試験に合格して、取引主任者証(業務に必要)は持っていないが、その意志はあるよという人です。まあ予備軍と考えたら分かりやすいかな。

これに対して実際の宅地建物取引主任者としての業務をするための、「宅地建物取引主任者証」を持つ人は、全国に50万人いるのです。これは24年3月末の発表数字に予想を加えて、発表になっていない25年3月末現在の推定数字です。星野尾先輩は、この「主任者会」を全国に立ち上げようという壮大な構想を持参されたのです。

そう言われれば建築士には、1級・2級・木造建築士の資格者で構成している「建築士会」と、事務所経営者の団体である「建築士事務所協会」があります。私も恥ずかしながら木造建築士として、暫く「士会」に在籍したことがありました。勉強のために入会していた私は、怖いものなしでした。

また当然の如く、「建築事務所協会」には今でも所属しています。「松野不動産建築設計事務所」なるものも、存在しています。次男が2級建築士に合格しました。このように考えると、「宅地建物取引主任者会」があっても不思議では無いのです。そしてこれまで無かったのは、必要を感じなかったからですね。

ここからが肝ですが、星野尾先輩はこの「宅地建物取引主任者会」を動かして「宅地建物取引士」の誕生を目論んでいます。俗に言う「主任者」の「者」から「士」への格上げです。これはこの業界では、積年の夢であります。

衣食住という国民に大きな影響を持つ宅建業界にあって、宅地建物取引主任者に課せられた責務は、(売買賃貸問わず)契約前に買主へ交付説明する「重要事項説明書」に記名押印するという大きな責任を追っています。

通常不動産会社には経営者と、この宅地建物取引主任者が在籍しています。勿論経営者自らが宅地建物取引主任者である場合もありますが、別の場合もあります。店舗には必ず1名の宅地建物取引主任者を置き、大勢の社員の場合には、5人に1人の宅地建物取引主任者を設置するように求められています。

宅地建物取引業法第35条1項は、宅地建物取引業者は、売買交換若しくは貸借の相手方に対して、その者が取得し、又は借りようとしている宅地又は建物に関し、その売買、交換又 は貸借の契約が成立するまでの間に、取引主任者をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面を交付して説明をさせなければならないと定められています。

このように宅地建物取引主任者の責任は多岐に亘り、加えて同47条では、35条以外でも調査の結果知り得た情報の内、契約の判断に資するものについて、例えば自殺があったとか、南に高層建築物建築の計画があるとかは告げるように義務づけられています。

私もにわかに「宅地建物取引士」が誕生するとは考えていませんが、業界の地位の向上を理念に掲げる私とて、ここはこれからの人生をかけて取り組むことかなとも考えました。宅地建物取引主任者の上位資格として、「公認不動産コンサルティングマスター」が誕生していますが、これはこれで動かず、「士」になる様子もありません。

計画が大きいだけに、思わず尻すごみをしてしまいます。四国4県を束ねることに汲汲としている私に、全国を束ねて、国家資格を創設するだけのパワーはありません。今日は夢を紹介したことにして、これで終わりますが、私は「宅地建物媒介(仲介)士」が良いと思います。

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