第3618回

国外財産調書制度の創設

言われていた、国外財産の届出制度がはじまります。国外財産の価額が、5千万円を超える方が対象となっています。これで日本人が、海外の金融機関に持っている口座の封鎖が同時に進行することになるでしょう。庶民には、「そんなの関係ない」と叫びたくなるところですが、案外身近に関係者がいるものです。

日本銀行調査統計局によると、個人が保有する外貨建資産の残高は、平成15年から平成23年までの8年間で58.6%(10.6兆円)増加しています。また、税務調査によって申告漏れを指摘される国外所得や、国外財産の額も近年増加しています。

これらの申告漏れを是正するための方策の一つとして、平成24年度税制改正により、「内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律」が改正されました。この制度はアメリカを模倣したものと言われていますが、香港などの口座は、先にも述べたとおり新設は勿論、既存の口座も閉鎖を求められるようになると思われます。

隠すつもりのない口座まで、閉鎖を余儀なくされることも考えられます。貿易商など、世界中の通貨を扱う人は、ドル・ユーロなどの通貨をリスクヘッジのために口座を分散している場合もあると思います。それより確信犯が、これまでは堂々と口座を保有していましたが、犯罪に関与したと言われたくないがために、制度が出来たら閉鎖でしょう。

平成25年12月31日以後、毎年12月31日において有する国外財産の価額の合計額が5千万円を超える一定の居住者は、その年の翌年3月15日までに、一定の事項を記載した国外財産調書(以下、「調書」)を税務署長に提出しなければならなくなります。

なお、この制度には、調書提出を促進するための加算税の特例措置や、罰則も設けられています。国外財産か否かは、その年の12月31日における財産の所在により判定されます。対象は国外不動産にも及び、これまでハワイ・中国・マレーシアなどのマンション投資が過熱していましたが、数多く持つと補足の対象となります。

国外財産の価額は、その年の12月31日における時価又は時価に準ずる見積価額を、同日における外国為替の売買相場により邦貨換算して評価します。事業所得の計算の基礎となった棚卸資産についてはその棚卸資産の評価額、不動産所得・事業所得・山林所得に係る減価償却資産については、その減価償却資産の償却後の価額が見積価額とされます。

図のとおり、一定の居住者には、調書の提出が求められます。給与所得しかないサラリーマンや年金所得者も対象から除外されていませんし、国籍の有無のみで判定するものでもありませんので留意が必要です。

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