第3216回

岩波書店世界5月号ルポ石巻市・希望と再生を求めて

岩波書店が毎月発行している「世界」。マニアックな本と言ったら叱られそうですが、5月号は、「東日本大震災・原発災害特別編集生きよう!」と題して特集が組まれています。今月11日に石巻の宮本嘉二邸、佐々木正彦邸で目を通したのですが、改めて買い求めに走ると、これが売ってないのです。

高松へ帰る途中の、仙台市内や東京の羽田空港でも、書店を歩き探しましたがありません。しかし高松には「宮脇書店」という全国1・2位を誇る書店があります。ここへ行けば、ないものはない。ただし5月号だから、もしかして・・・。

結果的には、「アマゾン・ドットコム」という通信販売に委ねることにしました。それでも新刊はないのです。中古品ならあるというので、それを注文しました。価格が定価840円のところ、何とプレミアがついて、はっきりは覚えてはいませんが1250円位したと思います。

以前不動産鑑定士吉野伸先生の、「これが小さな街づくり」を検索した際にも、中古品でプレミアがついていました。通常は新品に対して、半額ぐらいの価格構成ですが、マニアックな物に対しては、「価値」がネットの世界で通るのですね。沢山の人が参加することで、この自由経済市場が構成されています。

話を戻して「世界」の224頁から、高成田亮(たかなりた・とおる)氏のルポが掲載されています。テレビ朝日で、ニュースステーションに出ていたのを拝見したことがあります。前朝日新聞石巻支局長を務めた縁で、被災地に被災から2週間目に入った時の様子をまとめています。

そこに「カズちゃん」こと、佐々木和子さんが登場しています。宮本嘉二の姉さんです。19日の小欄に、写真が出ています。佐々木正彦さんの奥様ですが、もらい風呂へ行った際に撮影した写真ですが、一番ニコニコしているのがカズちゃんです。

隣の美しいお嬢さんは、宮本嘉二の兄夫婦の次女です。家屋が全損で、親夫婦が嘉二宅へ、娘はここが勤務の日赤石巻へ近いこともあって、姉宅へ居候です。そうすることで自分の自動車を嘉二の妻に貸与しています。妻は、失業保険の手続きや、被災証明の入手やらで車を使います。

その記事の中で、「年明けにカズちゃんがこんなことを言った。毛ガニがこの時期にこんなに獲れたことはない。海の底がぐちゃぐちゃになっていて、大きな地震が起こるんじゃないかって、本当に恐ろしいよ」

そして無事だったカズちゃんを訪ねて、先の予見のことを確認すると、「あのとき揚がっていたのは子を持った雌の毛ガニばかり。今思えば、子孫を残すために疎開していたんだね。つい最近は、ネズミの姿を見てないって話をしていたばかりだった。気づかなかったのは人間ばかり。人間は馬鹿だね」

買い求めた甲斐がありました。よく読んでみると、どの記事も神髄をついています。

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