第3139回

あの林原に一体何が

対岸の岡山市に、バイオ関連企業「林原」グループがあります。バイオ関連企業として、最先端を行く地方にありながら世界的優良企業です。非上場企業でしたが、菓子の甘味料であるトレハローズの世界生産のほぼ全量を生産することでも知られています。

この林原グループが、私的整理の手法である「事業再生ADR」手続きに入ったという速報を、先月26日、(社)香川県宅地建物取引業協会理事会の席で、私は大澤貞夫氏より聞かされました。彼はスマートフォンを駆使して、リサーチ速報を入手していました。

あの強い企業が、何だか怪しげな再生方法に入ったなという驚きが、会社の傾きより以上に信じられないことでした。穴吹工務店の破綻を思い浮かべます。穴吹の場合は、社長とその他役員の確執が最後のとどめとなったように思いますが、林原の異変は一般には伝わっていませんでした。

そして翌27日には、創業家出身の林原健社長と弟の靖専務が辞任すると発表がありました。林原社長は、父の死去を受けて、大学在学中の1961年、社長に就任。在任は50年間に及び、林原グループを有力バイオ企業に育て、不動産業など多角化も推進したときいています。メセナ事業も、林原健社長の功績です。まさに中興の祖的カリスマ存在です。

そして今月2日、第1回の債権者集会が都内で開かれ、不正経理問題などが発覚し、債権者の合意が得られず、結局「事業再生ADR」は不調に終わり、「会社更生法」の申請となりました。ここのタイムラグは、私にはその功罪がよく理解できません。

その効ありてか主力取引銀行の中国銀行は3日、当面の資金繰り安定に向け、上限40億円とする融資枠を新たに設けたと発表し、事態の沈静化へ英断をふるいました。一番の被害者は中国銀行でしょうが、30の銀行団の香川県側から見た地元銀行の香川銀行が27億円、百十四銀行が16億円と発表されています。

両行共に引き当て処理をし、決算予想に変更はないと言うから剛毅なものです。これまではこのように、損失があれば利益で相殺して納税はなしの構図でしたが、4月以降の決算では、税制改正のため、このような場合でも幾らかの税金を払うことになるようです。

このニュースを静観していて、一つにはまた優秀な地場企業が消えたことを残念に思います。上場していたら架空の300億円売掛金の計上など、言われているような不正は防げたかも知れない。しかし上場していても、公開買付など、気の治まるときがないのかもしれません。

企業は大も小も、経営者の考え方がすべてに反映するものだと、あらためて恐ろしくなりました。有り難いことに私には、稲盛和夫塾長の教えがあります。「なんまんなんまん、ありがとう」と、ひたすら手を合わせます。林原健社長は、信じるよりどころを失ったのかも知れません。

定期借地権60年分譲住宅「煉瓦の家・ラ・ヴィーダ」の現場報告はここから http://www.la-vida.jp/results/index.php

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