事業承継に遺留分の特例創設


中小企業の円滑な世代交代に貢献すると期待されている、「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」が、5月中には成立する見込みです。この法律の施行は平成20年10月1日とされていますが、そのなかの、金融支援措置については、既に4月1日から一部先行して実施されています。
中小企業の事業承継の3つの問題点として、①高すぎる相続税②民法上の相続の規定に起因する遺産分割や経営権争いの問題③代表者の死亡等に伴う資金繰りの悪化が挙げられます。
まず①については、「自社株式の相続税の納税猶予制度」が創設されて、納税が楽になるようです。取引相場のない株式等の納税猶予制度が、租税特別措置法の中で図られます。
また②については、民法の遺留分に関する特例が設けられて、この法律の公布の日から1年以内に施行される事になっています。
さらに③については、相続等に際して、後継者が自社株式や事業用資産を会社に売却せざるを得ない場合や、相続等で分散した自社株式や事業用資産を会社が買い取る場合などに、会社に対して自社株式の買い取りのための取得資金を融資する制度が創設されます。
戦後の民法の改正では、家督相続(家督相続人(新戸主)となる者は、旧戸主と同じ家に属する者(家族)の中から、通常は長男が家督相続人として戸主の地位を承継した。)の弊害を解消するために考えられた「均分相続」から、相続人が平等『私は公平であるべきだと主張しているのですが』にすべての相続財産(プラスもマイナス財産も)を分けるようになったのです。
ここでよく勘違いを散見するのですが、民法の規定は最後の手段なのです。まずは自由に、相続人間の話し合いによって決めたらいいのです。戦前の家督相続のように、会社を継ぐ長男にすべてを譲るという相続分割も有効なのです。
これで相続人全員が納得して、○○家または○○株式会社万歳となれば、それはそれで目出度いことです。しかしそれでは、「俺が損をする」という相続人が、「俺にも少しはくれないか」と裁判所に訴える制度が、「遺留分減殺制度」です。
平たく言えばこの新法では、遺留分を少なくするのです。また当事者全員の合意を条件に、生前に贈与した株式等を遺留分算定基礎財産から除外することが出来ることになります。
このように日本の経済の基礎となるべき中小企業の経営承継は、雇用の確保や地域経済活動力維持の観点からもきわめて重要です。日本は物作りの国です。そこからサービス・金融業などの第3次産業が、城の石垣のように、精巧に組織を構築しています。事業承継の制度は改善されました。しかしもっと大切なことは、後継者がいることです。夢をもって跡継ぎが出来る環境が、私は大切だと思っています。