香川胆識の会7月例会は花樹海で

盛和塾香川から派生した香川胆識の会では、経営上の気づきを得る機会となるよう、今月も「実学実践勉強会」「経営問答」「経営体験発表」の3部構成で、学びを深める例会が企画されました。そこで得た学びを自らの経営に生かし、互いに心を高め合う場にしたいと、お世話係の皆さんも尽力しています。会の評判を聞きつけ、今月も入会面接が行われ、高知県から新しい会員も加わりました。
私はすでに組織を離れ、経営者ではありませんが、「心を高める、経営を伸ばす」というスローガンの前半にある「心を高める」を深めるために参加しています。これは死ぬまで続く課題ですから、邪魔にならない範囲で仲間に加えてもらっています。
この日の内容はいずれも、私に深い気づきを与えてくれるものでした。中でも特に関心を持ったのは、長年、高知県から盛和塾香川に参加してこられた有限会社スタジオ・オカムラの小林正美さんによる経営体験発表でした。新しく始めた事業はまだ途上にあり、これといった成果は上がっていないと、小林さんは控えめに話されました。しかし、本業の傍ら、「土佐ベルガモット」をはじめとする農作物の栽培に力を入れています。
高知産の野菜はすでに販路があり、安定収入につながり始めていますが、本命は「土佐ベルガモット」の安定生産です。私も土佐の文旦なら知っていますが、同じ柑橘類のベルガモットは、聞いたことも見たこともありませんでした。これを「小豆島のオリーブ」のような、地域を代表する商品に育てたいという壮大な目標を抱いています。
その背景には、温州みかんが輸入果実に押され、価格の下落と需要の低迷に、みかん農家が苦しんでいるという現実があります。それに加えて、温暖化により、現在は栽培適地とされる高知県でも、今後は質の高い温州みかんを栽培できなくなるのではないかという懸念もあります。
データによると、年平均気温がさらに0.5度上昇すると、質の高い温州みかんの栽培が難しくなるといわれています。温州みかんは永年性作物で、一度植えると30年ほど収穫できます。それだけに、将来を見据え、今から代替となる品種の開発や栽培に取り組む必要があるのです。
小林さんによると、「土佐ベルガモット」の最大の特徴は、何といっても「香り」だそうです。多くの料理人に使ってもらったところ、通常、料理に対する評価は前頭葉に刻まれ、次によりよい香りに出会うと書き換えられてしまう一方、「土佐ベルガモット」の香りだけは後頭葉に刻まれ、長く残るというのです。すると会場からは、「それなら、ここにもその香りを持ってきてほしかった」と声が上がっていました。
新しいことへの挑戦には勇気が要ります。稲盛和夫塾長は、余裕を持って取り組み、決して捨て石を打たないよう教えていました。小林さんの挑戦によって、「土佐ベルガモット」が、いつの日か小豆島のオリーブと並び称される存在になれるのか。年齢が私と近く、実直な小林さんがその役割をどこまで演じ切れるのか、他人事とは思えません。
稲盛和夫塾長も、京セラとKDDIの前身である第二電電を創業し、JALの再建まで成し遂げた人物は一人必要だったが、それが稲盛和夫である必要はなく、誰でもよかった、という趣旨のことを語っています。その役割を演じる人が、この地球上に一人だけ必要だったのだと。小林さんの挑戦への期待から、私も思わず声が大きくなりました。