第8757回

便利になることは不便を伴う

禅問答みたいな標題になりましたが、最近は生成AI(人工知能)を使って、私の作業効率も格段に良くなっています。特にパソコンを使う作業は、時間短縮になっています。身近な例として、この『会長日記』も、ここ1週間ほどは原稿を書いてインターネットに上げる前に、AIに「誤字脱字や言い回しで不自然な箇所を指摘してください」とお願いしています。

若い人にこのことを自慢げに伝えると、「誤字は分かるけど、脱字は?」と詰問される次第。そうか脱字というのはその昔、活版印刷で一文字ずつ活字を拾っていた頃の間違い(誤植)のことで、改めて時代の趨勢を感じる。今の印刷技術では、活字を拾うことなどなくなっています。しかしわれわれはいまだに、『誤字脱字』という言い方をしています。面白いことに、AIも意味を理解しています。

生成AIは、およそ35年前からの情報を収集しているといわれています。すると35年前までは、印刷業界もまだ活版印刷をやっていて、AIもそれを理解していると考えるべきだ。印刷業界も、激動の時代を生き抜いてきたのですね。ひと頃『CIブーム』になって、しっかり稼いできた『デザインや企画』は、勿論数百万円もする発注は残りますが、数万円の仕事はAI(人工知能)にすっかり奪われています。

原点回帰で、本当にスリスリする仕事と、DM等のデ-タ管理しか稼げる部門がないようにも思います。『印刷屋』とかいう『屋』のつく組織の生存は、かなり脅かされています。『不動産屋』もご多分に漏れず、消費者が不動産買取会社に「安くても良いから売り払って、早くせいせいしたい」と持ち込めば、『不動産仲介業』も崩壊します。

ただし不動産買取会社が買い取る中古物件は、買取再販、リフォーム工事をして再び売り出すことから、築後40年未満の比較的築浅物件に限ります。それ以上の人間でいうところの高齢者になると、まず手を出しません。解体工事が必要だとか、土地だけの案件は買取再販のテ-ブルには乗りません。考えると印刷業界よりも不動産業(仲介業)はまだ、将来はやり方次第で輝いているのではないか。

さて本題だが、不動産売買契約において、売主買主が対面で契約することが、新型コロナウイルスの流行に伴い激減した。今では国土交通省も『リモート契約』を推奨している。人間が移動するより情報が移動した方が、手軽で、費用も格段に安く収まる。加えて、契約書に貼付する印紙代が要らなくなる。都会の不動産売買契約になると印紙代も、不動産価格50億円超で48万円(令和9年3月31日までの軽減措置)もかかる。

多方面からのメリットで、対面での契約がなくなれば、銀行で対面決済する機会も激減する。要するに、振込で処理する案件が増える。ところが売主が高齢者になると、銀行振り込みも大きく制限がかかる。買主は若いし、多くが金融機関からの振込で心配ないのだが、65歳以上の高齢者に自由な人権はないかのごとく。まさに本日のお題である「便利になることは不便を伴う」は、まさに日常生活の中で実感することである。私などは過去に、1万円のATM振込が出来なかった。何でもかんでも規制すればよいというモノではないと言いたい。

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