新興国の自動車市場は中印、成長シナリオ不変
少し前になるが日経新聞の月曜経済観測で、記者が豊田合成社長・宮崎直樹氏にインタビューした内容が掲載されている。成長を続けてきた新興国の自動車市場。ブラジルやロシアで好調な販売が続く一方、中国とインドの苦戦が目立っている。それでも2018年の中国は28年ぶりに前年比縮小したといっても、2800万台強の世界最大の市場であることに変わりはない。
また中国は、米中貿易戦争の影響から今は大変苦しんで居るが、弱含みといっても6%程度の経済成長を見込んでいて、大きく崩れる可能性は低いと見ている。インドも前年割れが続いているが、一部メーカーの生産は計画を下回っているが、潜在的な成長率は高い。市場規模は、400万台規模まで拡大し、ドイツを抜いて世界4位となっている。30年には、1000万台に達するという予想もある。
過日の小欄でも紹介したように、真鍋光広氏のまなべ塾でも、氏から「CASE」という聞き慣れないスペルが並ぶ流行語が紹介されていた。そもそも、今から3年前の2016年のパリモーターショーで、独ダイムラー(あのベンツを作っている会社)のディーター・ツェッチェCEOが発表した中長期戦略の中で提唱した造語です。「Connected:コネクティッド化」「Autonomous:自動運転化」「Shared/Service:シェア/サービス化」「Electric:電動化」の4つの頭文字をとったものです。
その1年前の2015年9月のフランクフルトIAA(モーターショー)で述べた、「自動車メーカーからモビリティ(交通分野では、人が社会的活動のために交通(空間的移動)をする能力を指す)のサービスプロバイダ (インターネット接続事業者) へと変わる」という戦略の実行の方向性を具体化したものになります。自動車を製造・販売する会社から、クルマを移動するための手段として、サービスを提供する会社に変わるという意味です。
日経ネタとしては、一気呵成に電気自動車や自動運転へなるようにはやし立てている(失礼あくまでも筆者の考え)が、その可能性は低いとしている。例えばインドでは、交通インフラの整備が途上で、すぐに自動運転が普及する環境ではない。電気自動車も充電インフラの整備に時間と費用がかかる。ただ、いつかかならずやってくる話しであり、備えは必要だ。
豊田合成はエアバッグなど主力製品で競争力を高め、足下を固めようとしている。重要なのは、将来への投資と現行製品の強化を同時に進めることだ。これができないと持続的な成長はおぼつかない。