第4908回

貧乏老後に泣く人安心老後で笑う人by横山光昭

「定年退職後に最低必要な資金は3,000万円」とか言われますが、実際には、「老後には5,000万円以上必要だ」という専門家もいれば、「いや、1億円以上なければ安心できない」という人もいます。要するに、不確定要素が多すぎて、その実態は誰にも分からないのです。

このようなことを耳にするにつけ、老後に漠然とした不安を覚える方も多いのではないでしょうか。老後に困らないお金の使い方というものは、実はほんのちょっとしたことに過ぎません、と著者は書いています。PHP文庫640円です。

結論としては、「老後の9割は、定年までの準備で決まると」と言うのですが、そんな準備は多くの庶民はしていないのではないですか。少なくても私は還暦を過ぎていますが、準備をしていないし、しようとは考えていません。どうにかなるさと開き直って、従って老後にいくら蓄えが必要かも考えたことがありません。

諸般の事情から、近く独立をしようかと考えているところですが、これとても老後対策ではありません。現役の思いをやり通すための、改善策です。ご案内の通り、すでに2年前から、松野不動産は長男に託しています。独立というのは、趣味の世界への突入かも知れません。あかつきの軌道修正、おめでとうございます。

さてさて本題に戻しますが、著者は、老後に備えて「とにかく毎月1万円でも2万円でもいいから、収入から必ず余らせて貯蓄をして下さい」と最初に書いています。そしてこの貯蓄は、家計以外にも効果をもたらします。

それは家計のダウンサイジング(規模の縮小)、つまり必然的に支出の抑制に挑戦することになるからです。人間贅沢をすると、切りがないのです。日本人のDNAは「小」です。これに反して、大きな家大きなクルマ大きな野望と、「大」へ傾くと往々にして失敗します。

また細かいことですが、保険の見直し、食費の見直し、クルマのリリースつまりマイカーを持たないことも推奨しています。仕事を辞めれば、急ぐことも減ります。アルバイトをするとか、ボランティアをするとかという人はマイカーが必要かも知れませんが、そうでなければクルマもダウンサイジングの対象です。

必要なときにレンタカーを借りれば、間に合うのではないですか。駅や空港の周辺には、レンタカーがゴロゴロしています。事前の予約がなくても、どうにかなりそうです。退職金で、これまで手に入らなかった外国大型車のそれも新車を買いたい衝動も、分からなくもないのですが。

そして年金の受給に関しては、より詳しく書いています。ここでは65歳からの給付を前提にしていますが、「繰り上げ受給(65歳前から受給をする)」は、1ヶ月繰り上げる毎に年金が-0.5%(年6.0%)になり、繰り上げた年齢よりも16年8ヶ月以上長生きをすると損になるようです。

また「繰り下げ受給」は1ヶ月繰り下げる毎に年金が+0.7%(年8.4%)、繰り下げた年齢より11年11ヶ月以上長生きをすると得と書かれています。しかし何歳まで生きるかが、誰にも分かりません。ここが選択を難しくしています。

読み進んでいくと、「50代、実は貯め期?」という項目がありました。63歳の私には「そんなのもう遅い」ということですが、そう言われれば、少し懐が楽になったのは確かにその頃でした。

子どもへの教育費がいらなくなって、孫にも盗られない、もっともわが家はいまだにその被害にまだ遭遇していないのですが、確かに楽になりました。では、退職金で住宅ローンの完済をするという考え方。結論から、著者はNGだそうです。

最後の方に、「早期退職で田舎暮らし」に関する項目の解説があります。移住ではまず、「賃貸住宅へ」とまとめています。私もこの考え方に賛成です。不動産仲介業の私ですから、買って下さるのは有難いのですが、まずは賃貸住宅で試し暮らしすることをお薦めします。合う合わないは、自分の責任だけではありません。

これが最後です。60歳で「完全リタイア」の時代は終わりです。「60歳で働くのはおしまい」と考えるのではなくて、「今の会社での仕事は60歳でいったん終了。以後は別の仕事を楽しみながらしよう、そして何かしら収入を得よう」という考え方に切り替えるべきではないでしょうか。

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