相続財産を売却したいと考える人は多いが
弁護士先生から、ある相続人を紹介されました。お目に掛かり詳細を伺うと、琴平町やその周辺にある相続物件を、出来れば売却したいというリクエスト。比較的賑わっている場所にあるのは、築後半世紀以上前の建物で、解体する方向で考えるしかない宅地がまず一つ。小商いの旧商店店舗の建物が、敷地一杯に何棟も建築されている。勿論戦後すぐの建物で、道路も幅員3mで、駐車場などの概念はない。
今風の建物の真逆と考えると、分かり安いか。2方向道路の角地で、幅員3と2mの町道だ。恐らく後退制限が掛かる、建築基準法第42条第1項4号道路ではないか。日本全国の半分ぐらいの場所の都市計画区域内にあっては、幅員4m(雪の地方では6m)以上の基準法上の道路に2m以上接していなければ建築が出来ないというのが一般的説明になります。
問題は解体ですね。まずは業者にお願いして見積をとりますが、いろいろな公的資料から更地にして、60坪(平均的住宅の広さの基準とされています)換算の坪あたり地価を導き出します。これに現在の敷地坪数から、道路後退の26㎡を引いた面積をかけ算すると、大体の予想価格がでます。これから解体費を引き算したら多くは残りません。それでも良いのかと、相続人確認して売値を決めます。
ここは宅地ですから調査は日常作業ですが、その他の相続物件は地目が『田』です。『琴平町』や隣接する『まんのう町』のある農地(地目が田畑)は、多くが農業振興法の農用地とされています。農業振興法に基づく農業振興地域内の農用地は、宅地への転用が非常に難しいとされています。これは、農業振興地域制度が農業の発展を優先するための土地利用のゾーニングを行っているためです。具体的にどうするか個人の自由のようですが、農用地は本格的に農業をするために指定されます。従って、固定資産税や相続税評価額が安くなっています。
逆に言うと、これを宅地化するわれわれの仕事は、この地域深掘りするとこの土地では難しいとなります。農地を農地として売却するのに宅建業法の縛りはありませんが、それだけ宅地化に不向きだとなります。宅地だと『坪〇万円』ですが農地となれば『反(300坪)〇万円』の世界になります。最も幹線道路沿いのこうした農地は、物流倉庫などの需要があり、以下の転用許可の対象になります。
農振除外という手続きを経ることで、転用が可能になる場合もあります。この手続きには、以下のような厳しい要件を満たす必要があります。
• 転用が必要かつ妥当であり、他の土地では代替できないこと
• 地域計画に支障を及ぼさないこと
• 農業の効率的な利用に影響を与えないこと
また、農地転用には農地法の規制も関係し、都道府県知事の許可が必要になる場合があります。高松市などでは農業委員会が、多くの決定権を持っています。
スーパマーケットの米が高くなっているようですが、わが家では知り合いの農家から分けて貰っています。玄米で30㎏単位で買ってきて、必要に応じてコイン精米機にかけて、その都度なくなればまた精米機に走ります。夫婦二人ですから、その量はわずかですが、でも米の備蓄がなくなると次は・・・とやはり心配になります。私も日本人です。
わが家の事情はともかくとして、このように相続財産の処分は時間が掛かります。被相続人(財産を残して死んだ人)が50年かけて作った財産の処分は、50年とは申しませんが、1~2年程度は掛かります。力不足で申し訳ありませんが、再生不可と言われる土地も、需要と供給の関係に棹さすことは出来ません。