第3614回

霞ヶ関にある国土交通省へ行きました

持続可能で活力ある国土・地域づくりを言い始めた国土交通省の動きは実に速い。人口減少、少子高齢化、財政制約に加え、震災を契機としたエネルギー制約等の課題を克服し、わが国の明るい未来を築くためには、持続可能で活力ある国土・地域づくりの推進が不可欠というのです。納得です。

持続可能な社会の実現の新たな課題は、低炭素・循環型システムの構築と地域の集約化、言わば「医食住」の近接であります。私も仏生山駅近の、県農業試験場跡地利用事業計画提案競技で事業提案書に、サービス付き高齢者向け住宅などの計画をまとめたのですが、残念ながらこの案は受け入れられませんでした。

がしかし、ここへ来て国の方針も、「新築」から「中古活用」へ住宅行政が大きく様変わりをしてきました。これまではマンションに象徴されるように、新築一辺倒で、新築を建てるためと言わんばかりに、20年経過の木造建築はその価値1割と言われてきました。

20年25年間の住宅ローンを払って、ようやく払い終えたマイホームの価値が殆どないと言われたら、「なんでそうなるの」と欽ちゃんのように言わざるを得ない。しかし言っても不動産業者や銀行の査定はそうなっていました。当事者の私も、これはおかしいよなと思いながら、そのような査定をせざるを得ない状況でした。それは国の施策がそうなっていたからです。

契機は震災や津波、はたまた原子力発電所の操業廃止かもしれませんが、いずれにしても「中古住宅」を見直し、そこに耐震補強やリフォームを加えて、使わなくなった広いマイホームを必要としている若い世代へ賃貸するやり方は、これは実に日本らしい考え方です。

利便性合理性を求めた極地が、このような温故知新であるというのも皮肉な結果ですが、いずれにしてもやっと「住宅」にあたらしい役目が出来たようで、それを扱うわれわれも、「良い時代の到来」を感じます。具体的には多すぎて書き切れませんが、要するに国の方針が、「新築」重視から「中古」見直しに大きく舵を切ったと言えます。

その中古住宅活性化のために、あらたな「民間住宅活用型住宅セーフティネット整備推進事業」も出来るようです。24年度政府案として100億円が予定されています。これは日本再生重点化措置として、国の目玉施策です。

近年厳しい経済雇用情勢の下、雇用者の所得水準の低下により住居負担能力が低下し、住宅に困窮するものが増加する傾向があり、公営住宅の応募倍率も依然として高い水準で推移しており、さらに、地方公共団体の財政状況の悪化から、公的賃貸住宅の供給に依存した住宅セーフティネットの取り組みは限界に来ています。これに反して、民間賃貸住宅の空室は一貫して増加傾向にあり、その有効活用が求められているわけです。

賃貸住宅の管理の期間が10年以上である等の条件を満たす住宅に、一定の改修工事をした場合、地方公共団体と連携して国が民間事業者に対して住宅の改修費の一部を直接支援することも盛り込まれています。

この場合の補助率は1/3で、補助限度額は100万円/空室となっています。この100万円という金額は、現場で工事にあたっている者には、実に有り難い数字です。60万円では届かない、実に現実味を帯びた数字になっています。

また相続で使わなくなった住宅の活用も見込めます。国は平成12年に出来た「定期借家権」の活用を全面支持しています。国が作った法律ですからあたり前と言ってしまえばそれまでですが、これが案外使われていないのもまた現実です。これなど国が本気で「学習」の機会をもてば、3年で日本の住宅賃貸市場は定期借家権契約が常識になります。

定期借家契約というのは、例えば2年間の賃貸契約とすると、2年が経過すれば契約が終了し、家賃滞納等の不良入居者は退去するしかないのです。しかし家賃滞納のない等良い入居者には「再契約」があり、継続入居が出来るという優れもの契約です。

何でそんなに良い契約方式が普及しなかったの。それは不動産業界の不勉強です。また国も制度を作りながら、普及に尽力を怠ったためです。私も施行後直ちに取り入れようとしましたが、「これまでのように更新がなければ、不利益になりかねない」と同業者に入居者の斡旋をして貰えなかったという経緯がありました。

ここへ来て、何だか世の中明るくなって来ました。希望と期待が持てます。そしてその速度が、実に速い。優秀な人材がいます。住まいなくして前向きな考え方は出来ません。東京駅八重洲口で昼間熟睡しているホームレスが、これからの日本を考えているようには、私には見えませんでした。

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