第3551回

どこにでもありそうな田舎の銀行での会話

かねてから中古マンションの売却希望者が、融資窓口の金融機関へ行って任意売却の相談をしたいと弊社へ働きかけがありました。というのも数ヶ月前に同じ支店で、売却の打診をしたところ「そのまま支払継続」を言われたらしく、私に言う口調も絶望的な弱よわさで、これでは金融機関の担当の説得は出来まいと心配するほどです。要するに一緒に行ってくれないかという依頼です。

マンション購入時の負債残の総額が1500万円、マンション査定額は800万円程度で、任意売買をしても親からの援助や、夫婦間の預貯金もないという現状です。これまで私が手がけた案件で、「弁済額不足」の不動産売却も数多くありましたが、自らの預貯金で補填してでも売却したいという依頼が圧倒的数でした。またそうでなければ金融機関が首を縦に振りませんでした。

現在は金融安定化法でしたか、亀井静香先生のお陰で融資が比較的楽に受けられています。貸し手の態度も変わっています。過去には任意売買に耳を傾ける行員さんは少なかったですね。裏返せば、競売へ持ち込むという腹積もりです。任意売買の価格を、はたして誰が決定するのかが大きな悩みでした。

話しを戻しますが、ところがついにこのご夫婦のように売った金額で残債を払いきれず、預貯金の蓄えも親兄弟からの援助もないケースが出て来ました。返済計画もボーナス併用で、この部分がネックなのと、完済の年齢が75歳というので組み換えも出来ません。購入時が40歳と聞いて、さもありなんと納得はしました。

銀行は毎月均等払いの返済方法に組み替えをして、今の返済額が増えないように、そして最後にボーナス返済部分を一括返済したらどうかとアドバイスします。売却をしてから残りの債務を支払うとなると、担保不動産がない「無担保債権」になってしまい、銀行としては避けたい案件になります。

私はハッキリ言いました。ご夫婦に売却後にバンザイ(自己破産)したら、残りの債務は免責になりますと。すると間髪を入れず、「お借りしたものはお返しします。700万円であればこれまでの毎月の支払金額で足りるし、今後の生活は、社宅に入れて貰い私(奥様)も働きますから」という返事でした。

私がついていくのに、計画的バンザイは出来ません。買うときに全額ローンというような安易な方法を選択したがために、エンゲル係数ギリギリの返済額に加えて修繕積立金や管理費、駐車場代の約3万円の加算があるために、毎年値下がりしている中古マンションを持ち続けることは至難の業です。

幸い支店長が過去に仏生山店に勤務されていて、弊社へも足繁く通っていたとのことで、任意売却話しを前向きに検討頂ける約束は出来ました。弊社元総務担当大山京子さんの名前も出て来ました。もう20年近く前になるのでしょうね。

オーナー様から見たアパートマンションの賃貸事業で、支払方法の見直しも続いています。太陽光発電やインターネット引き込み工事など、新たな融資を受けてリノベーションやリフォームをしていますが、金融機関との交渉が管理会社の大きな仕事になっています。

また別の案件ですが、築後40年超の分譲マンションを、価格400万円で売却を希望しているオーナー様がいらっしゃいます。別に住宅をお持ちで、売る理由も切羽詰まったものではありません。別荘の改築資金に充てたいという程度の売却理由です。

高松の港頭地区の至近、瀬戸内海を望む良いロケーションに建つマンションですから大勢の買い希望者が内覧に行かれました。その人達から聞こえる声は、管理費や修繕積立金が高いというものが多かったのです。こちらも3万円程度は毎月必要です。

高松は穴吹工務店のお膝元、決してマンションは建築戸数としても少なくはありません。あの一つ一つを壊して更地にするのに、本当に大丈夫かと心配をします。数千万円と試算される解体費用が、少なくなる住民の負担で支払いきれるものだろうか。原発もマンションも、今すぐなくなれば困りますが、次の世代に上手く引き継ぐのも大変な作業です。

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