第3399回

借金も無借金も考え方ひとつ

過日病院で、過去にテナント契約をして頂いていた元経営者と偶然出くわしました。急転直下会社をたたんだ訳ですが、その時には聞けなかった話も、今となれば恐る恐る勇気を持って。

銀行の与信枠が、ピークでしょうか16億円あったそうです。それが実際の融資額が約5億円の時に、最大手仕入れ先がM&Aで買収されて、そこからの仕入れ金額1千万円に対して、手形を要求されたそうです。元社長は、当然それには応じました。

するとしばらくして銀行から、持参の書類に代表者印を求められたそうです。渋々応じたところ、貸しはがしが始まり、ご存じの結果に陥り、今は近くの借家に住んでいるとのことでした。銀行への何気ない軽口も、影響したと思うとは本人の反省談。

販売業でしたが、店舗を複数構えて、県下でも地場大手の名の知れた会社であり、著名人でした。私にも、何度も「身の丈経営」をご指導頂きました。それが72歳の今、借家住まいというのも経営の難しさを痛感します。同時に銀行とのつき合いも、考えさせられます。

また別の経営者ですが、地場大手販売店から追い出されて卸業に行き詰まりながら、小売業へと舵を切った結果、今では中四国関西を中心に60数店舗を直営する企業にした経営者。こちらは親子二代にわたり、積年の恨みを晴らす結果となっています。

さらにこちらは、無借金経営です。複数の銀行から融資を受けて、キャッシュフローに用心しながら店舗拡大をするのが普通だと思うのですが、経営者2は、あくまでも無借金経営です。2代目(経営者3)の才覚だと私は思いますが、後継者の彼は、「親父の口癖のお陰です」とあくまでも御尊父を立てます。

手形+談合があたり前の建設業にあっても、独立以来現金払いに徹したもう1人の経営者もいらっしゃいます。業界の常識も、経営の王道には叶いません。この経営者4もこの時代にあって、順調に業績を伸ばしています。今では3男に社長を譲り、社会奉仕に精進しています。

この先人らの教えは、「考え方のあり方」次第で、つまり経営者の意志で経営は決まると言うことを、身近で、生々しく私に教えてくださった生きた教材です。また途中という経営者もいらっしゃって、山川草木悉皆成仏(さんせんそうもくしっかいじょうぶつ)と言ったら叱られますが、生き字引は実に身近にいるようです。

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