第2756回

日本航空の会社更生法申請に学ぶ

2000年(平成12)施行の「民事再生法」ですが、出来て1年にもなるのに、東京地裁民事20部の担当窓口は閑古鳥が鳴いていたと言います。2001年にマイカルが破綻し、これまで常識だった「会社更生法」ではなく、先の「民事再生法」での申請がなされ、世間がビックリしました。

このあたりのやり取りは、高商OBの榎本恵一先輩に機会があれば是非聞いてみたいところですが、しかし榎本恵一さんが語るとも思えず、興味の範疇に留めておくのが大人かなとも思います。

前後して裁判所が、この「民事再生法」の使い方のセミナーを頻繁に開催しました。誰に対してか、もちろん相手は弁護士先生です。使い勝手が良くて(迅速)、第一旧経営者が経営陣に残ることが出来て、債権者の再建計画への同意が獲れやすいということで、この「民事再生法」が盛んに使われるようになりました。

このあたりの下りは、江口正夫弁護士の話ですが、先のマイカルの破綻では結局債権者の同意が得られず、確か「会社更生法」での申請に切り替えられたと思います。当時の江口正夫さんの話しによると、旧経営者が会社に残れるというメリットと、民事再生手続き中でも不動産に(根)抵当権を設定している金融機関は、競売申請が出来てしまうというデメリットの説明とがあったと記憶しています。

この時の私のザックリした感触は、大企業の破綻は「会社更生法」で、中小企業の破綻の場合は「民事再生法」で粛々整理をしていくのだなあというものでした。

上場企業の再生であれば、大なたを振るうやり方でやるしかないと思いますが、中小企業の場合、金融債務(有利子負債)さえ取り除けば何とかやっていける状態であるならば、経営者を残して再生するのが話しが早いし、コストも掛からず、ある範囲では「円満に」再生が叶うと思います。

今度は論文です。「民事再生法」にお株を奪われた東京地裁民事8部担当判事が、NBL2008.12.15号に「DIP(Debtor In Possession)型会社更生手続きの運用の導入を・・・」という論文を書きました。「DIP型会社更生法」も「民事再生法」と同じく経営陣を残すことも出来ますよ。もちろん主要債権者の同意の下でね、という主旨の論調です。

これにより民事8部の窓口は、大逆転長蛇の列です。2009年2月以降の不動産関連業界の破綻で、「あおみ建設」や「日本総合地所」はこのDIP型会社更生法を選択しました。

担保権実行(競売開始)を止められる上に、旧経営者が管財人に残れるのであれば、決断に躊躇することはありません。善悪では疑問が残るところですが、損得ではやはり得だと考えるでしょうね。

さて日本航空ですが、会長兼CEO就任が決まった稲盛和夫塾長ですが、明後日からのハワイ塾開塾での記念講演は決定。その後の盛和塾年間計画に変更なしの通達が、京都の本部からありました。もちろん稲盛和夫塾長の意を踏まえてのことです。

日本航空は、私も一度就職を考えた会社です。ナショナルフラッグです。近日中に「会社更生法」の申請をするようですが、その後に日本政策投資銀行から融資を受ける予定です。つまり「DIPファイナンス(破綻企業向け融資)」ですが、やはり国としてもつぶせない状況です。

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