第8745回

身近におこる安否確認の難しさ

クマがまちなかを闊歩して、大騒ぎになっているという報道に接しています。流石に四国までは来ていませんが、四国内にも数頭のクマはいるようです。東北・北陸・北海道など、クマが出る可能性のあるところの皆さん、月並みではありますがお気をつけ下さい。かと言って、遭遇したらなすすべがないと思いますが、諦めないで身を守って下さい。勝てませんが、諦めず負けない工夫が命を守ります。

さて今日の小欄は、こちらも経験したことのない現実です。仕事がら入居者の家族や関係者から、安否確認(入居者と連絡がつかない)が寄せられることが過去に何度かありました。今日は、私の事務所の隣で起こった事案です。私とそう変わらない年の独居老人(失礼まだ70歳)。つい最近退院してきて、近況を確認し合ったところです。丸二日、顔を見ていません。

私と違い几帳面な性格で、ゴミ捨ても一番、その時にはきちんとゴミネットを必ずかけるとかみさんが誉める。しかし、新聞受けに新聞がたまっている。ベランダには、洗濯物を竿に干したまま。固定電話は呼び出し音が聞こえるが、応答なし。携帯電話は持っていない。駐輪場に自転車はある、マイカーは免許返納して所有していない。インターホンにも応答がない。

こうなると起きられないほど重症か、食事は取れているかとかみさんが心配する。管理会社に連絡するも、水曜日で定休日だ。病院が分かっているので問い合わせをしたが、来ているかどうかも『守秘義務』とやらで、答えてくれない。二人の息子の連絡先も聞いてない。管理会社なら掴んでいるかもしれないが、カギは預かっていない。最近は全ての本数を、入居者に渡している。

何時間か経過し、仕方なく近くの警察へ事情を電話したら、程なく交番勤務の二人が駆けつけた。どうするガラスを割って入室するかと相談しながら、警察が出張っているからと管理会社の代表者へ電話して事情を説明したら、社員を走らせて今どきだからコンピュータデーターを確認。関係者の連絡先不明。ここからまた1時間程度、膠着状態が続く。

最終的には警察網で息子さんと連絡が取れて、父親の緊急入院が判明した。流石日本の警察だ、もう少しで不法侵入になるところだった。「大家の私が責任を取る」ところまで話は煮詰まっていたが、事なきを得た。しかし事前に入院を知らせる彼が病院にいるとなると、これも別の意味で心配だ。私と同じ、『食道がん』と聞いている。私はがんの初期(ステージ1のA)で、内視鏡措置で終わったが、彼は放射線治療だと聞いた。

あれから私は、もう4年をどうにか無事すごした。わが家は本来がん体質の家系で、祖父も父親も、がんで他界している。「大家と言えば親も同然」とは言わないが、年頃の類似、昔からのいきさつ等々、兄弟のような気持ちだ。事故物件になったら自己使用するから心配するなと、彼には早くから伝えているが、苦しむのは可哀想だ。

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