第2860回

お前の携帯電話番号を教えろ!~地域医療貢献加算制度で~

最近医療関係者と話す機会があって聞いた話ですが、不動産業界だけではなくて、医療業界でも訳のわからない法律が、実に短時間の議論だけで原案通り可決されて、世に送り出されている感じを持ちましたので、今日はそのことを書いてみます。

4月1日から診療所の再診料に、「地域医療連携加算」という新しい項目ができたそうです。外来患者全員に、担当医の携帯電話番号を教えて、24時間365日、外来患者さんからの電話相談に応えなさい、この方法を選択すると、プラス診療加算をしますよという制度です。

全国各地の病院診療所へ、「お前の携帯電話番号を教えろ!」という外来患者さんが来たそうです。選択制ですから、「当院ではその届け出はしていないので、教えることができません。既に届け出ている医療機関を御紹介しましょうか」と丁重に説明して事なきを得たそうです。

診療券に携帯電話番号を書くことになるようですが、外出先に突然電話が掛かっても、その人のことを特定できる記憶が果たしてあるかどうか。また顔は思い出せても、症状まではっきり思い出すとは限りません。

仮にその言われる症状だけで判断して、「一晩様子を見て明日診察に来て下さい」と言ったばかりに、その後容態が悪化して取り返しのつかない状態になったら、間違いなく家族は、「訴えてやる」となることでしょう。

また昨年、酒気帯び診察がマスコミで話題になりましたが、厳密に適応されるなら医者は一生酒を飲めません。そして学会、研究会、懇親会にも参加できません。結局、開業医は酒も飲まずに24時間、365日いつでも診察に電話対応にスタンバイすることを要求されます。

世の人には労働基準法があります。ただし、事業主には適応されませから、24時間、365日働いていいことになっていますが、これだけ働けば人間は壊れてしまうことは自明の理です。どうやら開業医には、健康に生きる権利も個人情報が保護される権利も適応されないようです。

長尾和宏

尼崎市昭和通7‐242 長尾クリニック

TEL:06‐6412‐9090 FAX:06‐6412‐9393

1984年東京医大卒、大阪大学第二内科入局、市立芦屋病院勤務、

1995年開業、尼崎市医師会地域医療連携・勤務医委員会委員長、

近著「町医者力」(エピック)他

HP http://www.nagaoclinic.or.jp

メール nagao@nagaoclinic.or.jp

ブログ http://www.nagaoclinic.or.jp/doctorblog/nagao/

関係者の言うことに驚いて、ネットでいろいろ検索してみました。結果、長尾和宏さんの意見を参考にさせて頂きました。私も4月に所属する高南支部総会の後、飲酒をして寝入っていました。0時前後でしたか呼び出されて、女房の運転で賃貸マンションの漏水現場へ行きました。

この際、挨拶がなかったとか、詫びがなかったとかその後いろいろ言われましたが、権利の乱用を政治が世間がマスコミが助長している傾向がひどいと思います。われわれ事業主も人間です。総会後の安堵感から深酒して、早くから寝入れば次の日は快調ですが、途中で起こされたら頭は回らず、立っているだけで精一杯です。

権利の裏側には義務があります。権利の主張が通りすぎたら、世の中ぎすぎすします。今まさに「応仁の乱」の戦いの後のような雰囲気です。もちろん予想ですが。

世の中確かに不景気で、お金が回っていないと実感します。しかし金不足で人の心がさもしくなるのは、本来的におかしなことであって、江戸時代をあげるまでもなく、昭和20年の敗戦後もお金どころか、食べるもの着るもの住むところもなかったじゃないですか。

私は日本に限ってはここ一番、「足を知る」をお題目に辛抱の時だと思います。それは、景気が良くなり収入が増えると期待した時の流れではなくて、しばらくするとこれが常態だと慣れるから、辛くなくなるからです。

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